言葉の魔物
- 政美 森田
- 7月15日
- 読了時間: 2分
ああ、またやってしまった。
言いたいことがあるのに、言いたいように言えない。
伝えたいことがあるのに、口をつぐんでしまう。
その代わりに、心無い言葉や、涙が頬を伝う。
悔しくなる。悲しくなる。
人生で何度そんな場面があっただろう。
語彙力の問題じゃないのだ。
コミュニケーション能力の問題じゃないのだ。
何か、そういう感情的になるときには、魔物が存在する。
そうして言葉を、考えを、ちょっと尖らせてしまう。
いつもの自分とは違う何かが、私を操ってしまう。
そんなのは言い訳だ、と思うかもしれないが、それができる人はきっと、もう魔物を倒したか、支配下に置いているのか、すでに達成した人なのだ。
だからまだ冒険の途中にいる人には簡単なことではない。まだ武器も揃っていない、武器の使い方さえわからないところに、魔物が急に現れて、襲いかかってくる。
そうなったら、走って逃げるか、攻撃に対して、ただ盾を構えることしかできない。それが、自分が死なないためにできる、せめてもの所作である。
私たちは、そんな冒険の中でたくさんの魔物と出会う。
最初は逃げてばかりでも、何かを達成するために進み続ければ、少しずつ倒せる魔物が増えてくる。
そして途中で、愛と勇気という仲間を見つける。自分を回復させる便利な道具も増えてくる。
もちろん、できるだけ魔物に出会わないように、避けて生きることもできないことはない。
しかしそれではレベルアップしないまま、使える武器が限られるだけじゃなく、武器や道具をしまうバッグの容量も増えない。
そして最後の目的地に待っている魔物に挑むことさえできない。
自分の中の魔物をどう倒すか。
あなた自身は弱いかもしれない。 でも、少しずつ自分に合った武器を見つけていくしかない。何度か負けても、使い方が下手でも、それでいい。
傷を負った分だけ、回復の仕方も覚える。
そうして、次に魔物が現れたときには、少しだけ冷静に構えられるかもしれない。
そう、これはきっと冒険の途中。
今日もまどろみの中で、私はまた小さな魔物に出会った。
そしてまた、小さな一歩を踏み出す。
今日も読んでいただきありがとうございます。
またまどろみの中で会いましょう。







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