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生きがいの哲学

更新日:5月4日

最近機会があり、ニーチェの本を読んだ。

ちょうど「自分自身の選択」について頭を悩ませていたので、少し引き寄せられているのかもしれないとも思う。


ニーチェの有名な言葉は「神は死んだ」や「超人」など。きっと哲学に詳しくない人でも少しは聞いたことがあるだろう。

彼が現れる前は、ソクラテスの弟子・プラトンのイデア論や、物事の真理の存在やキリスト教を信じるような本質主義がメジャーだった。そこに異論を唱えたのがニーチェだった。彼は芸術家的な思考を持った哲学者だったようだ。


そして彼の主張をざっくり言うと「自分の生きがいを見つけなさい」ということだ。


生きがいとは、他人に意味を求めるのではなく、すべて自分で意味を創造し、自分で意味付けた世界の中で生きるということである。

この世界に何かしらの価値や真理を思い描くことや、世界に何かがあると思う生き方は、信じるものや答えが揺らいだときにニヒリズム(虚無主義)の状態になってしまう。それを脱却できるのが、自分が創造した世界の中で生きるということだ。


他者や世界は、あくまで私たちの認識の中の「他者」や「世界」でしかない。変化したように見えることもあるし、失われることもある。認識の世界に生きるときに、他者の存在はとても揺らぎやすいものなのだ。

それに対して「自分」はそのものであり、自分がいなければ認識する自分さえいない。そもそも世界があるのは自分がいるからなのだ。だから世界に意味はないし、世界もない、あなたの存在やあなたの考えこそに本当の意味がある。その中であなたが世界をどう意味づけていくかが重要なのだ。


仮に世界と自分とを切り離し、他人の答えを私の生きがいにするなら、私の生きる意味はなんなのだろう。もうすでに見つかった答えをなぞって生きることは、世界にとって必要なことなのだろうか。そんなあなたは、世界にとって本当に必要な存在なのだろうか。

だからこそ、私たちは生きるために自分で世界を意味づけなければいけない。世界があるから自分がいるのではなく、自分の生きているから、世界がここにある。認識の世界ではいつでも「自分」が先だ。


そしてあなたの生きる意味が、あなた自身で創造した答えでなければ、あなたはもはや「死んだ」も同然なのだ。


あなたが世界に生きていること。それはあなたがいるからこそ成り立ち、常にあなただけのために成り立っている。

その中でどう生きるか。ニーチェはそんな生きがいをとらえるための哲学だ。



 
 
 

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