物語を読むこと
- 政美 森田
- 4月10日
- 読了時間: 1分
映画や小説を観ていると、たまに自分にとても似た登場人物に出会う。心情表現を言葉にされると、自分のことを知られているようでなんだか恥ずかしい気持ちになるし、同時に自分を都合よく解釈したりもする。
それでも、事実は小説よりも奇なり、という言葉のとおり、現実の行動は結果に結びつきはしないし、辻褄も合わない。そもそも現実には何のメッセージ性もない。日々の感情から生まれる行為の繰り返しで、物語の世界を知れば知るほど、現実とのギャップにショックを覚える。
それでも小説が読まれ続けるのは、人が変化に憧れ、果てしなく上に向かっていく性質があるからなのかもしれない。そして人生一度きりの中で選ばれなかった「私」を物語において擬似的にも歩むことができるからかもしれない。
物語が直接的に人の暮らしを便利にはしないし、読まない人には一生読まれることがない。それでも人が成長する過程の中に、物語は必要なものだと信じている。







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