言葉の種
- 政美 森田
- 10月15日
- 読了時間: 2分
わたしたちは言葉にする数よりも、思うことの数がずっとずっと、多い。
そして、それらのほとんどは言葉にするほどでもない、紡ぐ前に消えてしまうようなものばかりだ。
たとえば、すてきなみどり色をした建物があったり、コアラみたいな形をした雲が浮かんでいたり、君に似合いそうな洋服を見つけたとき。はじめての美味しさに出会ったり、あなたのまつ毛が意外にも長いのだと気付いたとき。
どれも、あなたの心の中で瞬間ときめいた、大発見だ。
けれど、言葉にする相手もいなかったり、そんなことを言っても何の意味もないし、そんなことを素直に言う自分がどこか恥ずかしい。そんな言葉にならない判断を無意識でしているうちに、言葉になる前の思いが、雪みたいに溶けていく。
しかし、こういう小さなことを言葉にしてみると、少しだけ、確実に世界は変わる。
別に共感されなくてもいい。
自分が感じたことをただ、何か表現してみる。
自分が何かを感じていることを実感する。
途端に立ち現れる、感覚。
わたしは他人のこうした部分を知るのが好きだ。
その人がなににどう感じるのか、どうでもいいことほど、聞きたくなる。
だからこそ、この意味のない会話に「だから何?」となる人に、少々ムクムクとしてしまう。もちろん仕事などパキッと意図のある会話の中では控えるべきだろう。
しかし、話し手はいつも答えや理由を持っているわけじゃない。その言葉をきっかけに言葉を、考えを、共に育んでいけるような会話が楽しい。
今日も読んでいただき、ありがとうございます。
また、まどろみのなかで会いましょう。







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