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レプリカ

わたしは最近、自分の中にある衝動的な何かの正体をずっと考えている。

自分の中には「言葉にしちゃいけない領域」がある。「言葉にできない」と言った方がふさわしいだろうか。

きっと、この世界の何割の人かは、その感覚をなんとなく共有できていると思う。


結局、言葉は無限なようで有限。だから、どんなにこだわったとしても表現が限られてしまう。

そしてそもそも、それらは「言葉」として出力すると、破綻してしまう性質のもので、もっとふわふわとしていたり、尖ったものだったりする。だからと言って形になるわけでもないし、それはそれでしかない。それ以外ということはない。そんなものを言葉にしたとき、途端に偽物になってしまう。それはそうではないんだと。


だから「言葉にできない」と同時に「言葉にしちゃいけない」。

言い換えるなら自分という存在を、また別のもので象られたような感じだろう。象られたものは、「象られたもの」であるだけで、本質的には全く違う。

本物とレプリカや贋作のようなイメージが近いのだろうか。

本物は本物にこそ意味があり、そこで使われた言葉は本当ではない。


わたしは、興奮のたび、しばしば、それらを人に伝えたいと思うときがある。

一応伝えてみるが、とても安直で、自分の中でハマらなさを感じる。何か比喩を使おうとすると「意味がわからない」と一蹴される。

だから、超能力のようなコミュニケーション手段で「伝われ!」と思ったり、けっこう本気で悩んできた。


うまく伝わらないと、そのもどかしさや、自己解釈ができていない自分にショックを受ける。

でもこればかりは自分が悪いわけではなくて、そもそも、そういうものなのだ。

だから伝えるのが不可能なものを伝えて、相手を混乱させてしまっている、かなり迷惑な人間でもある。


そういうわけで、それらとの区別をつけて、その辺に関しては口数少なく生きていきたいと思いました。

という、今の文章も、果たして伝わっているんでしょうか。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

また、まどろみの中で会いましょう。



 
 
 

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