そんな人
- 政美 森田
- 7月29日
- 読了時間: 2分
更新日:8月3日
「君はそんな人じゃないはずだよ」
それは、一見、人を闇の底から救い出す言葉のように感じるが、相手を優しくも深い闇の底に沈める、とても強い言葉だ。
おそらくそこには、相手への期待が含まれている。
今まで関わってきた過去をその人の本質だと認め、同意なく相手の姿を、そういてほしい姿を決めつけてしまう。
もちろん人は見える範囲でしか、人を定められない。
だから、見せない部分、見えていない部分については、ないものにされる。
あるかないかではなく、見えているか、見えていないかが重要視される。
当たり前のことだ。
しかし自分にとって都合の悪いことがあったとき、誰かに対して「君はそんな人じゃないはずだよ」といってしまうのは、緩やかな押し付けのように思う
それは、期待に応えたいという、人が持つ純真な心に毒を盛ることになる。
人は誰にでも本当の姿をさらすわけでないし、誰だって自分自身にも本当の姿がはっきりと見えるわけじゃない。
わたしの人生の一部しか共に過ごしていない他者が、一体何を語ることができ、「そんな人じゃない」と捉えることが出来るのだろうか。
それもすべてわたしであり、そういうあなたもすべてあなただ。
それは誰にも決めつけられるべきではない。自分自身だってそうだ。
相手のことをどんなにわかっても、相手の行動を「そんな人じゃないはずだ」と期待するのではなく、それも相手だと認め、その上でも相手を信じるかどうかを自分に問い直す。
相手に態度を委ねるのではなく、自分で決めることほうがずっと大事な感覚のように思う。
今日も読んでいただき、ありがとうございます。
また、まどろみの中で会いましょ。







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