景色
- 政美 森田
- 11月11日
- 読了時間: 2分
先日、北海道に住んでいながら、人生ではじめて函館山の『百万ドルの夜景』を観た。
じつは、以前にも一度、函館山に登ったことがある。
父が函館の生まれで、叔父の家に行ったときに、車で連れていってくれた。
そのときは、叔父の車を降りてから、鎖のかかった、いかにも入ってはいけないエリアに入り込んだ。しかし、夜景は観られなかった。
当時の私は7歳くらいで、暗い山が怖くて、景色どころではなかったからだ。
そんな記憶から20年後、山の恐怖も克服し、正規ルートで函館山の景色を観る。ただ、そんなに期待感はなかった。そもそも人生で夜景にそんなに感動したことがなかったからだ。記憶があるとすれば、数年前に、北見に住む知人に見せてもらった夜景は確かに綺麗だった。けれど、そのくらい。
だから、夜景というものが、そんなに綺麗なものだとは思っていなかった。
まず、駅から出ているバスに乗る。
山に入ると、バスの照明が消え真っ暗になる。車内は密かにざわつき、ただバスは進む。そうして揺られていると、木々の隙間からチラチラと明かりが差し込んでいるのが見えた。バスが大きく揺れるたび、右の窓、左の窓と交互に、市街地の明かりが、一等星の集まりのように光っていた。キラキラと夏の水面のような輝きが暗闇の中で見えた。
そして頂上で観る景色が、さらすごい。
今までみた何よりも、輝いて感じられた。
ホテルやビルからの夜景は窓があるが、ここにはない。広い視野で、光の輝きをそのまま受け取る。
また、ここは市街地を一望できるだけではなく、山としては高すぎない。
だから、宿泊したホテルから観る景色よりも、光がずっと近くにあるように感じられた。
函館は海に囲まれた街で、とても風が強い。
チリやホコリなど、霞む原因すべてをその強い風で吹き飛ばして、視界がより鮮明に見えるらしい。
夜には暗闇になる海に囲まれ、より街の明るさが際立っていた。船の明かりや、海岸にうっすらと白波が立っているのもまた、美しい。
その日夜景が綺麗なものだと、人生ではじめて知りました。
今日も読んでいただきありがとうございます。
ちなみに、今の百万ドルは日本円にすると、1億5千万円くらいだそうです。
また、まどろみのなかで会いましょう。







コメント