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景色

先日、北海道に住んでいながら、人生ではじめて函館山の『百万ドルの夜景』を観た。


じつは、以前にも一度、函館山に登ったことがある。

父が函館の生まれで、叔父の家に行ったときに、車で連れていってくれた。

そのときは、叔父の車を降りてから、鎖のかかった、いかにも入ってはいけないエリアに入り込んだ。しかし、夜景は観られなかった。

当時の私は7歳くらいで、暗い山が怖くて、景色どころではなかったからだ。


そんな記憶から20年後、山の恐怖も克服し、正規ルートで函館山の景色を観る。ただ、そんなに期待感はなかった。そもそも人生で夜景にそんなに感動したことがなかったからだ。記憶があるとすれば、数年前に、北見に住む知人に見せてもらった夜景は確かに綺麗だった。けれど、そのくらい。

だから、夜景というものが、そんなに綺麗なものだとは思っていなかった。


まず、駅から出ているバスに乗る。

山に入ると、バスの照明が消え真っ暗になる。車内は密かにざわつき、ただバスは進む。そうして揺られていると、木々の隙間からチラチラと明かりが差し込んでいるのが見えた。バスが大きく揺れるたび、右の窓、左の窓と交互に、市街地の明かりが、一等星の集まりのように光っていた。キラキラと夏の水面のような輝きが暗闇の中で見えた。


そして頂上で観る景色が、さらすごい。

今までみた何よりも、輝いて感じられた。

ホテルやビルからの夜景は窓があるが、ここにはない。広い視野で、光の輝きをそのまま受け取る。

また、ここは市街地を一望できるだけではなく、山としては高すぎない。

だから、宿泊したホテルから観る景色よりも、光がずっと近くにあるように感じられた。


函館は海に囲まれた街で、とても風が強い。

チリやホコリなど、霞む原因すべてをその強い風で吹き飛ばして、視界がより鮮明に見えるらしい。

夜には暗闇になる海に囲まれ、より街の明るさが際立っていた。船の明かりや、海岸にうっすらと白波が立っているのもまた、美しい。


その日夜景が綺麗なものだと、人生ではじめて知りました。


今日も読んでいただきありがとうございます。

ちなみに、今の百万ドルは日本円にすると、1億5千万円くらいだそうです。

また、まどろみのなかで会いましょう。






 
 
 

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